死海とは?

 
イスラエルとヨルダンの国境に位置する死海は、海抜マイナス400メートルというこの地球上で最も低い場所にある塩湖として有名です。肥沃な流域からヨルダン川が流入しますが、流れ出る川がないので『出口のない湖』とも呼ばれます。

死海は約 500万年前の地殻変動で海水が閉じ込められて出来たものです。後に砂漠気候に変化したため、年間降雨量は僅か50ミリ程度と極端に少なく、一方、激しい日射による蒸発で、生物が生きられない程の塩分濃度(一般海水の約 10倍)にまでなってしまいました。これが『死海』(Dead Sea)と呼ばれる所以です。

イスラエルの著名な歴史学者 ヨセフス・フラビウスによると、クレオパトラは『死海』のミネラルに魅せられ、ローマ帝国のアントニオに忠誠を誓った報償として死海資源の独占権を要求したほどで、彼女の美しさの秘密は死海にあったのではないかとの説を発表しています。死海沿岸エンゲディの近くにはクレオパトラが化粧品を作ったと伝えられる工場跡地が残り、オリエントやローマに向けて化粧品を生産したと言われます。また、古代ユダヤ帝国のヘロデ大王(在位 BC37-4)は持病であった皮膚疾患を死海の温泉で完治させたと伝えられています。

このように、この海は、4,000年も前から「生命」と「癒し」の源として、また、その水・塩・泥は、その地域の特殊な気候条件と相まって美容・健康および皮膚病・傷その他多くの病気に有効であることが認められ、その効果は現在に至るも世界的に高い評価を得ています。尚、イスラエルでは『死海』を「塩の海」と呼んでいます。

死海の力

 
死海の温浴療法によるリューマチ、関節炎、神経痛、創傷治癒、慢性皮膚病、乾癬、湿疹(皮膚アレルギー)、喘息、等の治療には数多くの有効臨床例が報告されています。死海と周辺地域には世界中で最も多種多量のミネラルが蓄積され、主要7種(Mg, Ca, Na, K, Cl, Br, SO4 )を含めて64種のミネラルの存在が確認されています。死海の水に含まれるミネラルイオンは、体内の血液循環を促進させ、血液に供給する酸素の量を増す働きがあり、皮膚の新陳代謝を早めて、皮膚に潤いと滑らかさを与えます。皮膚の乾燥を防ぐ保湿効果や角質柔軟効果も認められおり、肌の美容の面からも、その有効性が注目されています。
 
特に、死海のミネラルイオンを多量に含んだ粘土による全身美容法『泥パック』は有名で、欧米各地から毎年数多くの湯治客や観光客がこの地を訪れています。現在、死海沿岸には長期滞在型のホテルや医療センターも整備されています。
 
死海の水と一般海洋水の比較(g/1L)
(注:参考値です。死海水・一般海水共に、季節や採取場所等により数値が異なる場合があります)
 

ミネラルの名称 一般的有用性関連 死海の水 一般海水 倍率
マグネシウム 乾燥、ストレス 40.6 1.2 34
ナトリウム 疲労、神経、筋肉 39.1 10.5 4
カルシウム 鉄分、神経 18.8 0.4 47
カリウム 体内水分、老廃物、アレルギー 7.2 0.3 24
塩素化合物中の塩素   212.4 18.9 11
塩化マグネシウム   420 4.9 86
塩化ナトリウム(塩)   6.5 23.4 0.27
塩化カルシウム   12.5 1.1 11
塩化カリウム   4 0.6 7

 
【神秘の湖】・・・死海
 一般海洋水の10倍の塩分濃度(一般海水約3.4%に対して死海は約34%)・・・これに土壌が加わり、悠久の歳月で醸成された濃密なミネラルを含む黒泥が豊富に蓄積しています。
 塩化化合物(塩分濃度)が高い反面、皮膚刺激要因の塩化ナトリウム(塩)は、逆に約1/4と少なく、これが、死海が愛される大きな理由の一つと言えます。
 死海の高濃度ミネラル成分、中でもマグネシウムには、保湿や代謝、肌の保護など、優れた効能があるとされています。

死海の黒泥

 
死海の黒泥とは死海の底に堆積している沈殿物です。
 
約2万年もの間、川から流れ込む成分が無菌のまま沈殿しており、ミネラルをたっぷり含んでいます。この泥はクレオパトラも使用して化粧品工場まで建てられ、現在も遺跡として残っています。死海の泥は美容トリートメントとして今日も絶大な人気を誇り、ヨーロッパをはじめ世界各地に輸出されています。
 
死海の泥は、モンモリロナイトなど陰イオン化したミネラルが豊富に含みます。対して、肌の汚れやアカ、毒素などは有機陽イオンの性質があります。マイナスイオン化したミネラルを含む泥粒子は0.2ミクロンという極小サイズとあいまって汚れやアカなどに吸着し、中和・無力化します。
 
湖底の黒泥を体に塗って日光浴をする「死海療法」は、ヨーロッパでは古くから知られ、スキンケアやアトピー、乾癬(かんせん)の皮膚対策に使われてきました。乾癬は、皮膚の角質細胞の増殖スピードが異常に速まった状態で、死海水に多く含まれるマグネシウムが角質細胞の異常増殖をおさえる働きをすることが知られています。乾癬とアトピー性皮膚炎は別の病気ですが、いずれも免疫システムの暴走が背景にあるため、過剰な免疫反応を抑え込む死海療法はどちらにも有用です。マグネシウムは更に肌の潤いを保つ細胞間脂質を角質層に増やし、皮膚のバリア機能を高める働きをします。荒れた肌や、乾燥肌が潤うのはこのためです。
 
【死海の泥の特徴】
 臭いも色も普通の泥と殆ど同じで、泥臭さは抑えられています。
 なめらかなクリーム状で、微細粒子(0.2ミクロン)。皮膚や体毛などを痛める事はありません。
 
【泥パック】
 パックする事で、ミネラルと保湿成分が、皮膚や体毛に栄養と潤いを与えます。更に、泥が持つ吸着性が余分な皮脂を引き出し、毛穴の奥までスッキリ、肌を引き締めます。また。浄化効果があります。殺菌剤などとは違い、菌を抑えても、健康な皮膚を破壊する事はありませんので安心です。